機械指令のガイドブックEdition2.3

機械指令でもデジタル形式での取扱説明書・適合宣言書の提供が可能であることが明確に示されました。

デジタル形式での必要書類提供

https://ec.europa.eu/docsroom/documents/60145

2027年1月に機械指令が機械規則へと置き換わる中で、今回の機械指令ガイドブックの改定には、将来の機械規則を見据えた重要な変更が含まれています。

特に使用説明書、適合宣言書、部分完成機械の組立説明書、組込宣言書に関する規定について、デジタル形式での対応が可能であると公式に言及されました。

取扱説明書

該当する機械指令の項目は1.7.4項になります。

1.7.4 Instructions
All machinery must be accompanied by instructions in the official Community language or languages of the Member State in which it is placed on the market and/or put into service.
The instructions accompanying the machinery must be either ‘Original instructions’ or a ‘Translation of the original instructions’, in which case the translation must be accompanied by the original instructions.
By way of exception, the maintenance instructions intended for use by specialised personnel mandated by the manufacturer or his authorised representative may be supplied in only one Community language which the specialised personnel understand.
The instructions must be drafted in accordance with the principles set out below.

Machinery Directive 2006/42/EC

1.7.4 取扱説明書
すべての機械には、市場に投入される加盟国の公式言語、および/または使用される加盟国の公式言語による取扱説明書を添付しなければなりません。
機械に添付される取扱説明書は、「オリジナルの取扱説明書」または「オリジナルの取扱説明書の翻訳」のいずれかでなければならず、その場合、翻訳にはオリジナルの取扱説明書を添付しなければなりません。
例外として、メーカーまたはその正式代理人が指定する専門スタッフが使用する保守取扱説明書は、専門スタッフが理解する単一のEU公用語で提供することができます。
取扱説明書は、以下に定める原則に従って作成されなければなりません

参考翻訳

取扱説明書の形式に関する規定

  1. 非業務用製品の場合、必要不可欠な情報は紙媒体で提供する義務がある。
  2. デジタル形式での提供も可能だが、機械指令第10条(7)項の規定を遵守する必要がある。
  3. EU加盟国内で物理的に利用可能な非業務用機械の場合、以下の文言を記載することが推奨される:
    「購入者は、紙媒体による取扱説明書を無料で入手するよう要求する権利を有します」。
    この文言は購入者が理解できる言語で記載し、連絡先と請求方法も示すべきである。

必要不可欠なの内容

  • 機械の組み立て、始動、使用、メンテナンス、輸送に関する情報
  • 使用者または第三者の安全や健康を守るための情報。
  • 製造業者のリスクアセスメントに基づき、判断された情報。

機械指令第10条(7)項


この条文は、EU機械規則における製造業者の義務、特に取扱説明書の提供に関する規定を詳細に説明しています。以下に要点をまとめます:

取扱説明書の提供形式

デジタル形式で取扱説明書を提供する場合の製造業者の義務:

  • 機械製品本体、包装、または付属文書にデジタル説明書へのアクセス方法を明記する。
  • ユーザーが印刷、ダウンロード、電子機器に保存できる形式で提供する。
  • 製品の予想寿命期間中、少なくとも市場投入後10年間はオンラインでアクセス可能にする。
  • 購入時にユーザーが要求した場合、1ヶ月以内に無料で紙の説明書を提供する。
非専門家ユーザーへの配慮
  • 非専門家ユーザーを対象とする、または使用が予想される機械製品の場合、安全な使用に不可欠な情報を紙形式で提供する必要がある。
言語と明瞭性
  • 取扱説明書、安全情報、およびAnnex III(必須健康安全要求事項)に記載の情報は、各加盟国が定める、ユーザーが容易に理解できる言語で提供しなければなりません。
  • 情報は明確で理解しやすく、読みやすいものでなければなりません。

この規定は、デジタル化の進展に対応しつつ、ユーザーの安全と情報アクセスを確保することを目的としています。製造業者は、これらの要件を満たしながら、効果的な情報提供方法を選択する必要があります。

適合宣言書

今回改定されたガイドラインでは、適合宣言(または組込宣言書)がデジタル形式で提供される場合の言及がなされており、機械規則第10条(8)の規定に従うことにより、適合性を確保され製造業者の義務を課しているとみなされることが読み取れます。

こちらが機械規則の第10条(8)です。

8. Manufacturers shall ensure that the machinery or related product is accompanied by the EU declaration of conformity set out in Annex V, Part A or, alternatively, manufacturers shall provide the internet address or machine-readable code where that EU declaration of conformity can be accessed in the instructions for use and the information set out in Annex III.
Digital EU declarations of conformity shall be made accessible online for the expected lifetime of the machinery or related product and in any event for at least 10 years after the placing on the market or the putting into service of the machinery or related product.

    Machinery Regulation, REGULATION (EU) 2023/1230 

    製造業者は、機械または関連製品に、附属書 V、パート A に定める EU 適合宣言書を添付しなければなりません。または、製造業者は、使用説明書および附属書 III(必須健康安全要求事項) に定める情報において、EU 適合宣言書にアクセスできるインターネットアドレスまたは機械読み取り可能なコードを提供しなければなりません。
    EUのデジタル適合宣言は、機械または関連製品の予想耐用年数にわたってオンラインでアクセスできるようにし、また、機械または関連製品の上市または使用開始後、少なくとも10年間はアクセスできるようにしなければなりません。

    参考翻訳

    よって、適合宣言書または部分完成品の組込宣言書においても取扱説明書と同様の対応をとることによりデジタル形式での提供をすることが示されております。

    機械規則の解説では、こちらのパートナー会社であるインテリスク様のブログをご参照ください。
    https://intellisk.jp/mynote-18/